色彩の尽きぬところ 6
奈良時代に「橡色(つるばみいろ)」といわれていた色も、後世「黒橡」と呼ばれた色も、櫟の実や橿の実などの濃い煎汁に鉄媒染をしてできる色です。
やはり暗い灰色の一種ですが、墨染や玄と同様に、昔はやはり黒として認識されていたことでしょう。
黒い色や闇にかかる枕詞である「ぬばたま」というのも、アヤメ科のひおうぎという植物の実のことだといいますから、とても今なら黒の代表になるはずはありません。
日本の鉄色は、鈍色とほぼ同じ緑味の灰色のことらしいが、英語の「スチールグレー」は、それより暗い灰色になるようです。
砲金の色「ガンメタル」も同じくダークグレーの色名になっています。
色の明暗によって、軽重感が左右されることが多いです。
一般に明るい色は軽く感じ、暗い色ほど重い印象を与えますが、金属でも鉛や鉄などの重い金属は、やはり暗い灰色の色名になっています。
現代人は、黒と、黒に近い色や暗い灰色を厳格に区別するようになりました。
しかし、その暗い色たちにまだあまり結構な色名を与えてはいません。