色彩の尽きぬところ 3

黒と暗い灰色は、嗜好の点でも明らかに区別されています。


黒は20.1%の人が好きな色としてあげていて、現在でも第9位の嗜好色ですが、暗い灰色は逆に20%近い人が嫌いな色としてあげている色です。


この両者の明るさの違いはわずかなものですが、その違いを感じる人には快、不快を分ける大きな差になってしまうのです。


黒とのイメージの違いは、イメージ調査によれば暗い灰色にやや濁った感じがあり、黒より強さが劣ることだということになっています。


日本人が、暗い灰色やオフブラックを、黒とは別の色としてはっきり認識するようになったのは、あるいは1959年・60年の「チャコールグレー」の大流行以来であったかもしれません。


チャコールグレーは消炭色の暗い灰色を表わす当時の流行色名ですが、服装統計では、1958年の夏には、わずか0.4%しか見られなかった暗い灰色が、59年の夏に、一挙に8倍になっています。

色彩の尽きぬところ 2

事務机やロッカーなどの灰色は、「オフィスグレー」とか「ビジネスグレー」と言われて、邪魔にならない色とされています。


特に好き嫌いが問題にされる色ではなくても、生活の中になくてはならない中和剤のような便利な色なのでしょう。


江戸時代の百鼠の名称はとてもここに挙げきれませんが、当時から日本人の生活には不可欠な色だったのです。


白があくまで白くなったように、黒もますます黒い色が作られるようになったので、おそらく昔なら当然黒といわれたような範囲の色も、今では暗い灰色、あるいは「オフブラック」として区別されてしまいます。


商社から賄賂を受けたという疑惑の濃い政治家は、「濃い灰色」とか、「限りなく黒に近い灰色」などと新聞や週刊誌に書かれていますが、容疑が立証されるまでは、決して黒ときめつけられることはありません。


黒と暗い灰色が色としてちゃんと区別されるようになったので、言葉遣いの方もそれだけ厳密に使い分けられるようになったようです。

色彩の尽きぬところ

昔「鈍色」といわれた色にも、完全な無彩色よりは緑味の感じられる灰色であったといいますし、ある氏は俗に「鉄色」といわれる色も鈍色のことだとされています。


青味のある鈍色が「青鈍」で、前田雨城氏は銀ねずの濃色のことだと書かれています。


これは一種の「鉛色」だといわれています。


藍染の青が灰色に寄ると、「錆納戸」といわれますが、もっと灰色に近づくと「納戸鼠」になります。


これらは百鼠の中では比較的よく使われてきた鼠色の色名でしょう。


明るい灰色のシルバーグレーなら、好む人はそれほど多くなくても、その色を嫌う人はさらに少なかったのですが、普通の灰色になると、好む人も嫌う人もほぼ同数になり、やや嫌われる傾向の色になります。


しかし、服装の色としてはやはり常用色で、夏にはやや少ないですが1年を通じて決して消えることはありません。

てん料

ある紙を切るのに使ったカッターの刃が、すぐに切れなくなることがありました。

上質紙などには、紙の不透明度や、表面の平滑度を増し、紙を密にするために鉱物質の白色粉末を入れて作られています。

これが「てん料」で、上質紙では10%(乾燥パルプに対する重量パーセント)使われています。

紙を焼くと白い灰が残りますよね、これがてん料です。

新聞紙やティッシュペーパー、手さげ紙バッグ、ペーパータオルなどは燃やしてもほとんど灰が残らないのは、てん料を入れていないからなのです。

てん料として使われるのは、白土(クレー、粘土)、タルク(滑石)、炭酸カルシウム、二酸化チタンなど。

問題の紙をエックス線回折装置にかけて調べると、クレーのスペクトルの他に石英のピークが強く現われました。

これでは紙ヤスリをカッターで切っているようなもので、刃が鈍くなるのは当然のことでした。

その紙は、たまたま品質の悪いクレーを使って作ったものだったのです。

その後、丁度そのころから、タルクが多く使われるようになり、カッターの刃が摩耗することもなくなりました。

中性紙では、てん料に炭酸カルシウムが使われます。

酸性紙ではすくとき、炭酸カルシウムが泡立って、溶けてしまうので使えません。

炭酸カルシウムは不透明度が高く、てん料として有利なのですが、石灰石を粉砕して作った重質炭酸カルシウムは抄紙機のプラスチックワイヤーを摩耗しやすいのが難点です。

石灰乳に炭酸ガスを吹込んで作った軽質炭酸カルシウム(沈降炭酸カルシウム)は摩耗が少ないですが、少し価格が高いですね。

サイジング 2

印刷・筆記用紙はサイジングしてあります。

これは紙をすくとき、叩解したパルプの懸濁液(原質とか調整原料とよんでいます〉にサイズ剤を加えているのです。

サイズ剤の代表がロジン。

ロジンは水に溶けないので、アルカリで溶かして加えます。

繊維にロジンを定着させないと滲み止め効果がでないので、硫酸アルミニウム(略してバンドとよんでいます)を加えます。

これによって繊維の表面にロジンの疎水性の被膜ができるので、滲みが防止されるというわけです。

この方法は、内部サイジングとよばれています。

1807年にドイツのイリッヒによって発明されました。

抄紙機の発明と同じころですね。

イリッヒの発明したロジンサイズはまたたくまにヨーロッパで広く使われていきました。

ここで使われる硫酸アルミニウムは、水に溶けて酸性を示します。

また、すき上げた紙も酸性を示すのです。

nijimi.jpg

サイジング

植物繊維は親水性です。

そのために、紙は水を吸いやすいのです。

また、紙の表面や内部には細かい孔や隙間がたくさん存在します。

吸取り紙やティッシュペーパーが水を良く吸うのは、繊維が親水性なのと毛管現象があいまっているためなのです。

なので、水性のインキで書くと滲んでしまう滲み止め処理がサイジングです。

ヨーロッパでは昔、にかわの溶液に紙を浸してから取出し、乾燥させて、サイジングを行いました。

これをタフサイズとよんでいます。

日本でも和紙は水性の絵具や墨が滲むので、にかわと明馨(みょうばん)を混ぜた液を塗って滲み止めを行っています。

これがドウサ引きという日本画の画法です。


これもサイジングの一種なのです。

seni.jpg

紙すき機械(抄氏機)の発明とその歴史 2

1808年に、イギリスのディキンソンよって円網(まるあみ)抄紙機が発明されました。

抄紙機はその後、進歩を重ね、抄紙速度や抄紙幅が大きくなり、得られる紙の品質も良くなりました。

いずれも驚くばかりです。

抄紙速度は、1808年に毎分36フィート(約11メートル)。

現在では毎分1.000メートル以上ですく機械が普通です。

抄紙幅も9メートルのものがあるほど。

最近の抄紙機の一つを紹介します。

それはツインワイヤーマシンです。

これはスリットから噴出させた原料のパルプを2枚の金網の間にはさむようにしてすくので、今までの抄紙機ですいた紙の悩みであった表裏差がなくなり、印刷しやすい紙が得られるのです。

最近の新聞紙の印刷がきれいになったのは、印刷方式がオフセット印刷になったことと、新聞用紙がツインワイヤーマシンで作られるようになったからです。

insatu.jpg

紙すき機械(抄氏機)の発明とその歴史

紙すき機械(抄紙機)は、1798年にフランスのルイ・ロベールが発明しました。

フランス革命の直ぐあとのことです。

この発明がなされるまで、東洋も西洋も1枚ずつ紙をすいていたのです。

このロベールの抄紙機を改良して、実用的抄紙機を完成したのはイギリスのガンブル。

機械に明るいドンキンの協力を得て、1801年から4年にかけてのことでした。

イギリスの資産家フォードリニア兄弟は、ガンブルやドンキンに資金援助し、1808年に最初の実用抄紙機(金網幅50インチ、長さ31フィート)を完成させました。

抄紙機を完成させるために巨額の資金を使ったため、フォードリニア兄弟は後に、破産したと伝えられています。

今日も長網抄紙機をフォードリニアマシンというのは、この兄弟の功労を記念するためといわれています。

kamisu.jpg

木材からどうやって繊維を取出すか 2

薬品で木材を煮て得られるのが、化学パルプです。

クラフト法で作られたのがクラフトパルプで、現在、化学パルプの主流になっています。

上質紙、コート紙、情報用紙、包装用紙、ティッシュペーパーなどを作るのに使われます。

新聞用紙などに使われるのは機械パルプで、木材を機械的にすりおろして作ります。

少し前まで、回転させた砥石に水を掛けながら木材を押し付けてすりおろしていました。

得られるパルプをストーングラウンドパルプ(砕木パルプ)とよんでいます。

最近は、木材のチップを溝のついた2枚の円盤の間ですりおろしています。

これをリファイナーパルプとよんでいます。

近頃、新聞紙が薄くなったと実感します。

薄くても丈夫で、印刷の裏移りがしない新聞紙ができるのは、木材チップに、予め熱と圧力を掛けてから2枚の溝つき円盤ですりおろすサーモメカニカル法や、木材(丸太)に熱と圧力を掛けて軟らかくして、砥石ですりおろす加圧式砕木パルプ法で作られたパルプが使われているからでしょう。

これらのパルプは繊維が比較的長く、不透明度が高いので、薄くて丈夫で、裏抜けしない紙が得られるのです。

kami.jpg

木材からどうやって繊維を取出すか

植物から繊維を取出すことを、パルピングといいます。

和紙では、樹の皮の内側の靱皮(白皮)が使われます。

比較的に繊維を取出しやすい桑科の楮(こうぞ)、ジンチョウゲ科の雁皮(がんぴ)、三極(みつまた)の靱皮が使われました。

木の灰に水を加え、上澄み溶液が灰汁(あく)で、昔から、製紙原料の靱皮を煮て不要なものを溶かし去るのに使われました。

主成分は炭酸カリウム。

現在は炭酸ナトリウム(ソーダ灰)が使われています。

洋紙は、木材の繊維が使われます。

木材から繊維を取出すのは靱皮ほど簡単ではありません。

木材の主成分はセルロース、ヘミセルロースとリグニンで、他に少量の樹脂、油脂・灰分などが含まれています。

木材は細胞からなり、この細胞の大部分が繊維をなし、細胞膜はセルロースとヘミセルロースでできています。

リグニンは細胞膜の接着剤の役目をしています。

このリグニンを溶かし出して、木材から繊維を取出す薬品はいろいろと発明されましたが、現在最も多く使われているのは、薬品(蒸解液)に硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物を使うクラフト法です。

この方法がドイツのダールによって発明されて、100年以上になります。

とてもすばらしい、すぐれた発明です。

これは木材の種類を問わず何でも煮ることができます。

また、繊維の傷め方が少ないので、強い紙を作ることができるのです。

また、木材を煮た廃液(蒸解廃液)は濃縮し、燃料として燃やすので、エネルギーの節減になります。

燃やした灰は水と混ぜ、石灰を加えて苛性化して、蒸解液として再利用するなど利点が多い方法です。

アーカイブ

2012:01 2011:12 2011:11 2011:10 2011:09 2011:08 2011:07 2011:06 2011:05 2011:04 2011:03 2011:02 2011:01 2010:12 2010:11 2010:10 2010:09 2010:08 2010:07 2010:06 2010:05 2010:04 2010:03 2010:02 2010:01 2009:12 2009:11 2009:10 2009:09 2009:07 2009:06 2009:05 2009:04 2009:02 2008:11 2008:10 2008:09 2008:07

管理人のお気に入り